廃棄物発電の仕組みをご存じですか?未来の電力エネルギーを知ろう!

はてなブックマークに追加 Twitterでシェア Facebookでシェア Google+でシェア

福島第一原子力発電所の事故以来、原子力発電所に依存してきた日本のエネルギー戦略は、大きな転換を迫られています。こうした流れの中で注目されているのが廃棄物発電です。要するにゴミを燃やした発電のこと。将来のエネルギーの一翼を担う発電といわれるほど、大きな可能性を秘めているといわれます。ぜひとも、この機会に知っていただきたいものです。

  1. 廃棄物発電とは
  2. 廃棄物発電の仕組みと特徴
  3. 廃棄物発電の現状
  4. 廃棄物発電のメリット・デメリット
  5. まとめ

1.廃棄物発電とは

廃棄物発電とは、文字どおり廃棄物をエネルギー源とした発電のことです。ゴミ発電とも呼ばれます。もともと廃棄されるゴミをエネルギーとするので、不要なものを有効利用する合理的な発電といえるでしょう。
特に、生物資源廃棄物をエネルギーとした発電は、バイオマス発電といわれます。利用するのは食品廃棄物や下水汚泥など。再生可能なエネルギーであり、わが国では、太陽光、風力、地熱発電などともに、化石燃料に代わる「新エネルギー」として導入拡大を図っています。
バイオマス発電は、2012年から始まった「固定価格買取制度」の対象にもなっている発電です。発電電力量は、2013年度は176億kWhでした。国の長期エネルギー需給見通しによると、2030年には約3倍の394億kWh~490億kWhを見込んでいます。すべての発電電力量の3.7%~4.6%程度に相当する発電量です。
廃棄物発電は、新エネルギーの中でも、太陽光発電や風力発電、地熱発電に比べると、一般的な認知度は低いでしょう。でも、可能性を秘めた発電方式です。

発電所や変電所、さらに工場などの受電設備や配線など、電気設備の保安監督をする際に必要な資格に、電気主任技術者があります。とても大切な仕事で、社会的な評価が高い資格です。第1種から第3種までの3種類があります。
電気設備を設けている事業主は、工事・保守や運用などの保安の監督者として、電気主任技術者を選任しなければなりません。法令で義務づけられているからです。まず、電験3種(第3種電気主任技術者試験)をめざしている方は、廃棄物発電の仕組みも、知っておく必要があります。

 2.廃棄物発電の仕組みと特徴

一般的な廃棄物発電は、廃棄物の焼却に伴って発生する高温燃焼ガスによりボイラーで蒸気をつくり、蒸気タービンで発電機を回して発電します。日本では、1965年に大阪市西淀(よど)清掃工場で廃棄物発電が始まりました。1990年代以降、急速に普及していきます。特徴は、次のような点です。

  • 焼却に伴うエネルギーを利用するので、化石燃料の使用を少なくでき、二酸化炭素の発生量を抑制することができます。
  • やっかいものだった廃棄物の処分と資源としての活用ができる一石二鳥の発電です。
  • 太陽光や風力発電などに比べて、エネルギー源となる廃棄物を安定的に供給できます。
  • 都市部やその近郊にあるので、小規模ではあっても需要がある場所に直結した分散型熱源になります。

3.廃棄物発電の現状

環境省の平成24年度調査によると、一般廃棄物焼却施設1,189施設のうち、発電設備がある施設は318施設です。全体の26.7%であり、発電設備がある施設はまだまだ少ない現実があります。また、既存発電設備の利用率は推定で約66%。設備利用に余裕があるといえるでしょう。
環境省の統計では、2012年度の総発電能力は1,748MW、平均発電効率は11.9%。発電効率は、決して高くはありません。しかし、総発電量は7,718GWhで、約227万世帯分の年間電力使用量に相当します。想像していた発電量より多いと思いませんか?
一方、一般廃棄物焼却施設以外に、産業廃棄物焼却施設でも廃棄物発電は行われています。ただし、2010年度に稼動があった1,454炉のうち、発電があった施設は137炉、全体の約9%に過ぎません。発電効率も6.9%(2009年度)にとどまっているのが実状です。
現状を見ると、廃棄物発電をする焼却施設は少なく、利用率も低いといえるでしょう。でも、逆にいえば、それだけ可能性がある発電ということもできます。

4.廃棄物発電のメリットとデメリット

廃棄物発電にはメリットもあれば、デメリットもあります。デメリットを改善し、メリットを伸ばすことで、今後の普及が大いに期待できる発電です。

<メリット>

  • 焼却しなければならない廃棄物を、燃やすだけでなくエネルギーとして回収するので、効率的なエネルギー利用ができます。
  • 廃棄物をエネルギーとして利用することで、資源化を図り地域へ還元できます。
  • 廃棄物自体を利用することで循環型社会の構築に貢献します。

<デメリット>

  • 廃棄物の燃焼ガスには塩化水素が多く含まれ、蒸気温度が高温になると、ボイラーの金属腐食が発生しやすくなります。
  • このためボイラーの蒸気温度を低く抑える必要があり、発電効率が悪くなります。
  • 燃焼の際にダイオキシンなどの有毒ガスが発生する心配があります。

でも、発電効率の改善やダイオキシンの問題などについては、技術開発によって改善されてきました。次のような新技術があります。

  • RDF発電技術:廃棄物中の水分や不純物を取り除いて固めた固形化燃料(RDF)を焼却した発電します。ダイオキシンが発生しにくく、専用の焼却炉で効率よく電気をつくることができます。
  • スーパーゴミ発電技術:ゴミ焼却炉のボイラーから出る蒸気を、ガスタービンの排熱でさらに過熱します。その結果、発電効率を高めた複合型のゴミ発電です。一般的な廃棄物発電の発電効率は20%以下といわれます。しかし、スーパーゴミ発電だと、発電効率は30~34%にもなります。
  • ガス化溶融発電技術:廃棄物を熱分解して生成したガスを利用し、残留物を高温で溶融焼却し発電します。

さらに、紙ゴミの約2倍のカロリーがある廃プラスチックを積極的に利用しようといった動きも進んできました。廃棄物発電の課題は、新しい技術の開発によって、徐々に改善されています。

5.まとめ

廃棄物発電のコストは、事業形態(都道府県、市町村、民間)や発電システムなどにより異なります。一般的にいわれている発電コストは、9~17円/kWh。火力(石油)は30円以上といわれますから、とっても割安な発電方式です。天然ガスによる火力発電(13.7円)と同程度くらいと考えていいでしょう。また、太陽光(住宅約30円、メガソーラー24.3円)など、ほかの新エネルギーに比べても、経済性に優れるといえます。
廃棄物発電伝で得られるのは、何も電気エネルギーだけではありません。焼却した熱も有効利用できます。地域冷暖房などの熱源などです。
日本では、一般廃棄物だけに限っても、年間約4,522万tのゴミが排出されています(2012年度)。そして、約80%が焼却処分されています。でも、単に燃やして処分するのでは、あまりにももったいないと思いませんか?どうせなら、エネルギーとして活用したいものです。
ゴミの問題は、循環型社会を実現するためにも、なんとか克服しなければなりません。廃棄物発電は、普及させたい発電というよりも、普及させなければならない発電といえるでしょう。