ウランを濃縮する方法が知りたい。何種類くらいあるの?

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私たちの生活になくてはならない電気。
その電気を作っているのが発電所です。
発電は決して複雑なことをするわけではありません。
蒸気の力でタービンを回すだけです。
今回は、蒸気を作るエネルギーのひとつ、ウランの濃縮方法についてご紹介しましょう。
ウランは、皆様がご存じのように原子力発電を行う際の核燃料になります。
ウランは天然の鉱石ですが、そのままでは使えません。
電験三種など電気系統の資格を受験する方も、ぜひこの記事を読んでみてください。

  1. ウランとは?
  2. ウランを濃縮する方法とは?
  3. 濃縮の結果何ができるの?
  4. ​おわりに

1.ウランとは?

ウランとは、原子番号92番の元素です。
地殻に鉱石として存在し、紀元前から着色料として使われてきました。
ウランには238や235などの種類がありますが、原子力発電所の燃料として使われるのはウラン235のことです。
ウラン235の原子核は中性子を吸収するとふたつに分裂します。
この分裂の際にさらに中性子が発生するため原子核の分裂反応は続き、その際に莫大なエネルギーが発生するのです。
原子力発電とは、この分裂反応のときに発生するエネルギーを発電に利用しています。
しかし、分裂反応のエネルギーは大きすぎるので、ホウ素、カドミウム、ハフニウムなど中性子を吸収する性質を持った物質で作った制御棒を使って反応を一定に押さえているのです。
さて、このウラン235ですが、ウラン鉱山から鉱石の形で採取します。
でも、ウラン鉱石の中に含まれているウラン235はわずか0.72%しかなく残りはウラン238です。
こおの濃度では原子炉の80%をしめている軽水炉ではうまく反応を持続させることができません。
そのため、ウランを濃縮させることが必要なのです。

2.ウランを濃縮する方法とは?

この項では、ウランの濃縮方法をご紹介します。
濃縮には高濃縮と低濃縮がありますが、どのような方法があるのでしょうか?

2-1.低濃縮と高濃縮の違いとは?

天然ウランの中には、ウラン235が0.72%含まれています。
これを濃縮して0.72%以上、20%以下したものを低濃縮ウランというのです。
そして、20%以上に濃縮したウランを高濃縮ウランといいます。
逆に、ウラン235が天然ウランの濃度よりも下回っているものは、劣化ウランになるのです。

2-2.ガス拡散法

ウラン235と238の質量比による拡散速度の差を利用した、同位体分離方法です。
圧縮機によって気化した六フッ化ウランを、隔壁を設けた気質に送りだします。
内部で拡散したウランは隔壁に開けられた数十A の穴を通り抜けますが、その際、質量の小さいウラン235が238よりも多く穴をすり抜けるのです。
これで、ウラン235の比重がわずかに重い濃縮気流ができました。
これをくりかえすことにより、ウラン235の濃度をあげているのです。
ウラン濃縮法としては最も歴史が古いのですが、1度で濃縮できる比率が低く、消費電力や時間膨大にかかります。
そのため、現在では一部の濃縮プラントで行われているだけです。

2-3.遠心分離法

ガス拡散法と同じく、ウラン235と238の質量差を利用した同位体分離方法になります。
気化した六フッ化ウランを遠心分離装置に入れて加速すると、質量の小さいウラン235は軸側に、質量の大きい238は壁側に集まるのです。遠心分離器の回転胴内の中には濃縮ガスと減損ガスをそれぞれ回収できるようにスクープという管がついています。
ガス拡散法に比べると、濃縮のためにガスを反復する回数は30分の1に、使うエネルギーは10分の1に軽減されるのです。
日本では、青森県の六ケ所村に遠心分離法を利用しているウラン濃縮工場があります。

2-4.レーザー原子法

ウラン235と238のわずかな吸収スペクトルの差を利用した同位体分離方法です。
ウラン235を選択的に励起して電離させた後、正電荷になったウランを陰電極に回収します。
このように書くと簡単そうに思えるかもしれません。
しかし、ウラン235だけを正確に電離させるには、選択励起を正確に行う必要があります。
選択励起が正確に行える吸収線は電離できるだけのエネルギーがなく、電離が行えるほどのエネルギーのある吸収線は選択励起が正確に行えません。
そこで、3種類の吸収線を使い分けて照射して励起から電離までを行うのです。

2-5.レーザー分子法

レーザー分子法は、レーザー原子法と基本的には同じ濃縮方法です。
しかし、沸点の低い六フッ化ウランを使うてんが異なっています。
さらに、原子法がウラン原子の分離を目的にしているのに対し、原子方法はフッ素原子の分離を目的にしているのです。
日本では、理化学研究所などが実証研究を行っています。

2-6.エアロダイナミック法

エアロダイナミック法は、過流を発生することでウラン235と238を分離します。
ガスの遠心力を用いますが、遠心分離法と違って可動部がないことが特徴です。
現在、ブラジルに建設されたプラントでエアロダイナミック法を用いるウラン濃縮法が行われています。
可動部が少ない分構造が単純で、管理も難しくありません。
ですから、高い技術を持たない国でもプラントを運営できるでしょう。
しかし、流路抵抗が大きく廃熱の量が多いというデメリットもあります。

3.濃縮の結果何ができるの?

ウランを濃縮すると、濃縮ウランと劣化ウランができます。
濃縮ウランのうち低濃縮ウランは原子炉の核燃料として使用されているのです。
高濃縮ウランは兵器用の核燃料になります。
そのため、一部の国では原子炉を建築すると核兵器の開発につながるのではないか、と懸念されているのです。
一方、劣化ウランはウラン235が0.2%、残りがウラン238で構成されているのが一般的になります。
劣化ウランというと、湾岸戦争のときに使われた兵器を想像する方もいらっしゃるでしょう。
確かに、劣化ウランは兵器の弾体として利用されています。
しかし、その一方で劣化ウランも核燃料として使われているのです。
ウラン238もウラン235と同じように核分裂反応を起こします。
しかし、ウラン235とは異なり、核分裂反応が連鎖しにくいのです。
そのため、ウラン238は「非核分裂性」と位置付けられています。
しかし、高速中性子を吸収したウラン238はプルトニウム239になるため、核燃料として利用できるのです。
原子力発電は火力発電に比べるとコストが低いともいわれていますが、濃縮ウランを作る過程まで入れると今のところはそれほど差がないという意見もあります。

4.おわりに

いかがでしたか?
今回は、ウランの濃縮方法についてご紹介しました。
このような発電所の種類や特徴に関する問題は、電験三種試験の中の「電力」で出題されます。
電験三種の試験というと、理論や機械の難易度がクローズアップされることが多く、「この2教科が受かったら、後は安心」と思っている方もいるでしょう。
しかし、電力や法規は計算問題だけでなくこのような暗記項目もあります。
計算が得意で暗記が苦手という方は、かえって難しく感じるかもしれません。
ですから、理論と機械の勉強に力を入れて電力や法規はさらっと流す程度よいと思っている方は、即考えを改めましょう。
電験三種の試験は4科目ですが、試験勉強には半年以上必要といわれています。
ですから、電力や法規もしっかりと時間を取って勉強してください。
今日ご紹介したもの以外にも、暗記しなければならないことはたくさんあります。
暗記科目が苦手な方は早めに取り組みましょう。